建設アスベスト訴訟 最高裁で弁論実施

弁護士8年目となりましたが、登録以降取組み続けている建設アスベスト訴訟がいよいよ大詰めを迎えています。

はじめて企業責任を肯定した2017年10月27日の神奈川1陣東京高裁判決以降、各地の高等裁判所において企業責任を認める判決が続き、労働者と同様の働き方をしていた一人親方・中小事業主を救済する判決も定着するなど、多くの被災者を救済する方向での司法判断が確立してきました。

そして、2020年10月22日、全国に先駆けて神奈川1陣訴訟について最高裁判所において弁論が開かれました。弁論は、最高裁において高裁判決を見直す部分について当事者双方から意見陳述を行うという非常に重要な期日になります。私も、企業責任の担当チームの一員として、最高裁判所の判事らに、企業責任そして共同不法行為責任の在り方について訴えをしてきました。

本来であれば、多くの弁護士及び当事者が法廷に入るのですが、新型コロナウイルス禍の中、入廷者及び傍聴者の人数も制限されたため、見学できなかった方が多かったことは残念ではあります。しかし、意見陳述を行った弁護士5名と当事者2名は見学できない仲間たちの思いを背負い、最高裁に可能な限りの主張を述べてきました。

人生初めての最高裁であったこと、そして多くの思いを背負ったものであったことから、私としてもこの裁判の弁論に参加したことは非常に貴重な経験となりました。

被告である国側、企業側も意見を述べていましたが、これまでの多くの高裁判決の内容を顧みない浅薄な内容であり、かつ他の当事者に責任を押しつけ合うような、およそ説得力に欠くものとの印象を受けるとともに、被害者に寄り添い、その苦しさやつらさに対する救済を目指す弁護団の一員であったことも改めて誇らしく感じました。

最高裁判決の日程は、追って指定となり未だ確定していませんが、被害者の真の救済のための基金制度創設に向けた重要なものとなることは明らかです。まだ、各地の裁判に加え、神奈川の2陣訴訟3陣訴訟も続いており、今後も多くの被災者が生まれてくるアスベスト被害の救済のため、これからも尽力していきます。

以上

弁護士 永田 亮