本書は、安部政権の下、政権側から憲法9条改定が突きつけられた2018年、この改定の動きに正面から反対する目的で、大月書店から発行されました。
本書の特徴は、憲法9条の理念を非軍事中立主義と捉え、それが単に人類の理想として優れているに止まらず、それが四方を海に囲まれた日本の地理的条件に照らして「現実的な選択」だと主張する点にあります。そして、安部政権下で提示された改憲論について、それが集団的自衛権を容認するものとして反対する一方、従来から言われる「専守防衛論」についても、それを主張するのであれば、一体どの時点にまで戻すのか、アメリカとの関係をどうするのか、大日本帝国でさえ避けた「本土決戦」で膨大な一般市民の犠牲を生じることに耐える覚悟があるのか、と厳しく迫るものです。
神原弁護士、伊藤真弁護士及びジャーナリスト布施祐仁渾身の共同著作ですので、是非、手にとっていただければ幸いです。